漢方とは - 処方 - 産婦人科⑩更年期障害

症状別には血管運動神経系、精神神経系症状、知覚系、運動器系、消化器系、
生殖泌尿器系、その他の症状などがある。どの症状に対象を置くかで選択薬が異なる。

更年期症状に有効な漢方薬は一般的に普及している当帰芍薬散、加味逍遥散、
桂枝茯苓丸の中から選択する場合が多い。

これらの3種(婦人の3大漢方薬という)のみの投与でも、かなりの効果が期待できるが、
その他にも温経湯、八味地黄丸、補中益気湯、女神散や半夏厚朴湯などがある。

さらに、効果を上げるためには漢方薬の選択範囲を広げる必要がある。

五行説の五臓六腑の先天の本である腎の衰えた腎虚に対し、
補腎剤の八味地黄丸、六味丸や牛車腎気丸、

後天の本の脾の衰えた脾虚に対し、補剤の補中益気湯、人参湯や六君子湯、
婦人の本の肝である肝気うっ血に対し、加味逍遥散、柴胡桂枝湯や加味帰脾湯などを
基本的な治療(本治法)に行うほか、

気血水理論では気剤の半夏厚朴湯や香蘇散など、血剤のうち血虚に用いる四物湯、
芎帰膠艾湯や十全大補湯など、瘀血に対する駆瘀血剤の桂枝茯苓丸や桃核承気湯など、
利水剤では五苓散や防已黄耆湯、苓桂朮甘湯などを応用する。

更年期障害の病態背景には冷え性である場合が多いので、
第1選択薬には当帰四逆加呉茱萸生姜湯、冷房病には五積散などを用いる。

一方、のぼせや発汗などの熱証には、加味逍遥散、女神散、温清飲、白虎加人参湯など。
うつや不眠を訴える場合には、半夏厚朴湯、香蘇散、加味帰脾湯などを用いる。

村田 高明

 


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