気血水

気血水(きけつすい)の「気(き)」とは、生命を維持するための
エネルギーのようなものと考えられています。

気が停滞することを「気鬱(きうつ)」といいます。
うつ状態などの精神症状をきたします。

順行すべき気が逆行することを「気逆(きぎゃく)」といいます。
発作性に咳、不安感、動悸、頭痛などがおこります。

気の量に不足を生じることを「気虚(ききょ)」といいます。
疲れやすく、体がだるく、気力がなくなるなどの症状をきたします。

血(けつ)」とは、現代での血液や体液などに例えられますが
「気」とともに生命を維持するうえで、重要であり両者は不可分のものです。

血の流れに障害をきたした状態を「瘀血(おけつ)」といい、
月経の異常、打撲による腫れ、肩こり、のぼせや冷えなどをきたします。

また血の量が不足した状態を「血虚(けっきょ)」といい、
眼が疲れる、皮膚の乾燥や荒れ、顔色が悪い、こむらがえりなどの症状をきたします。

水(すい)」も、生命の維持の上で不可欠のものです。
この水が体の中で偏在した状態を「水毒(すいどく)」あるいは「水滞(すいたい)」
といい、めまい、頭痛、動悸、浮腫、下痢、尿量の増減などをきたします。

秋田 治之

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漢方では病気の原因を「」、「」、「」という3つの概念で言い表しております。
「気」とは空気の気という字を書きます。

身体の中にこの気が巡っていて、これが滞ったり、塞がったりしますと、
これが原因で症状が出てきます。

気が滞ると症状としては、いつも何か喉につかえていて、取れないのでついつい咳払いをする。
エヘン虫といっておりますが、そんな虫がいるような感じです。

試験の時になると咳払いをするという経験を持っている人は少なくないのではありませんか?
ストレスでこういう症状は出てきます。

これが更に進むと気うつの症状になってきます。
何をやっても気分が滅入って楽しめない、悪いことばかりを考える。
やる気が起きないといったうつ症状になります。

漢方ではこの様な場合、順気剤といって、気の巡りをよくするお薬を用います。
代表的な薬が半夏厚朴湯です。

」とは、血液の血と書き、身体の中を血が巡っていますが、
これが何かの原因で滞ったり、あるいは足りなくなったりします。

女の方に多く、生理や更年期障害に伴う症状の多くに関係しております。
昔から「血の道」といってよく知られている事で、漢方治療の最も得意とする分野です。

」は、みずと書いて水と読みますが、人間の身体の70%は水分です。
バランスよく身体に分布しているときは良いのですが、
これが崩れると毒として働くと考えています。

水が上の方に上がると眩暈や頭痛といった症状になりますし、
下の方にくると下痢という症状になります。

むくみや動悸といった症状でも出てきます。
患者さんを診察する際、お腹を軽くたたきますが、
この時チャポチャポと水の音がします。

これを振水音といって水毒の証拠と考えています。
水毒は、一過性として出てくることもありますが、
胃腸虚弱のような方は慢性的に見られることもあります。

漢方薬を服用しますと急性期は直ぐに治りますし、
慢性的な方でも食事などの注意を守りながら治療しますと治るものです。

水毒に対して代表的な薬は五苓散があります。
これは頭痛、吐き気、下痢、むくみ、口の乾き、
尿が少なくなるような時に効きます。

この症状が一遍に出でることがあります。ご存知ですか?

実は二日酔いの症状なのです。朝起きると頭がガンガン痛む。
まるで脳が小さくなって頭蓋骨にゴツゴツと当たっているようです。
喉は渇き、顔は浮腫んで、ムカムカして、吐く、
吐いても、物は受け付けない。
よくみると軟便だったり下痢だったりします。

この様な症状に五苓散は良く効きます。
まず仕事に穴を開けるようなことにはなりません。

漢方は経験医学なだけに専門の先生に診ていただくことが大切です。

石川 友章

 


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