漢方Q&A - 産婦人科について⑬月経異常や不妊症に効きますか?
質問:月経異常や不妊症に漢方治療が有効なのは、
漢方薬にホルモン作用効果が期待できるからですか?
漢方治療では古くから月経異常や不妊症についての治験例を挙げています。
漢方薬にホルモン作用が期待されますが、ホルモン剤のように標的臓器への直接作用し、
効果を発揮する薬剤はありません。
しかし、薬理学研究では生薬の葛根、黄耆や杏仁に
僅かにエストロゲン作用があると言われています。
勿論、これらの生薬を単独で多量に投与してもエストロゲン効果は認められません。
現在のところ、臨床的に有効な機序は現代医学の理論のそれとは異なり、
漢方医学でいう全身的な八鋼弁証や気血水概念などの病態因子の歪みを是正することによって、
関連する諸機能の調整と相互協調が図られた結果、内分泌機能や生殖機能を円滑にしていると考えられます。
主として、血行促進とホルモンレセプターとの係わりを増強すると推測されます。
現在迄に報告された漢方薬では、内分泌機能への効果が期待されるものに、
当帰芍薬散(FSH、LH、PRGの増量)、
桂枝茯苓丸(FSH、LHの増量)、
芍薬甘草湯(PRL、Tの低下)および温経湯(LH-RH増量)があります。
これらを応用してのクロミフェンやHMGなどとの併用療法も可能になります。
回答)村田 高明