漢方Q&A - 対応疾病⑤インフルエンザに漢方は効きますか?

<質問1>インフルエンザに漢方は効きますか?

回答)インフルエンザには、リレンザやタミフルなどの西洋薬が有名ですが、
服用した10代の方の一部に副作用として飛び降りる等の異常行動があったため、
心配される方が多いようです。

そこで、インフルエンザに効果のある薬として漢方薬が注目されています。
「麻黄湯」が有名ですが、体質に合わない場合は効果が出ないばかりか
体調を崩しますので、医師とよくご相談下さい。

<質問2>インフルエンザのような高熱を出す病気では、やはり漢方薬だけでは無理なのでしょうか。

回答)皆さんの意識の中には漢方薬は穏やかで、ゆっくり効くという
考え方ができ上がっております。

そのため漢方薬には副作用がなく、安全であるというもう一つの考え方がでてきます。

<質問3>そうではないのですか?

漢方は抗生剤のなかった時代から治療法として存在していましたし、
チフスやコレラといった伝染病をも治療しなければならないわけですから、
急な変化にもちゃんと対応できなければ漢方そのものが生き残ることが出来なかったわけです。

漢方の原典である「傷寒論」はチフスの治療法を書いた本であると言われております。

<質問4>コレラなんかも治せたのですか?

日本では江戸の末期から入りはじめ、ころりと死ぬことからコロリといって
恐れられていたのですが、明治時代にもコレラが流行り、
今から120年前の明治12年の石川県史にこの時の記録が残っています。

それによりますと、コレラ患者総数29808名の内、
死亡者は21044名に達したと書かれています。

漢方医佐々木秀三郎の患者は136名中、死者は18名であったとあります。
これを死亡率でみますと当時の西洋治療では70.9%、
漢方治療は13.2%となります。

<質問4>それでは漢方の方がずうと効くのではありませんか?

驚かれるのも無理はないと思いますが、このように史実に残っております。
佐々木先生は日本に入って数十年しか経っていないコレラという新しい病気を
抗生剤なしでこれだけの実績をあげていたということです。

ご存知のように、現在でもウイルスでおこる病気に効く現代薬は
ヘルペスウイルス治療薬の他にはほとんどないと言っても良いでしょう。
インフルエンザウイルスも例外ではありません。

<質問5>それではどうしたらよいのでしょうか?

予防法としては、うがいをよくやること、ワクチンを早めに接種することです。
風邪やインフルエンザという感染症は体力の落ちたときにかかるので、
元気一杯のときには罹りません。
罹ったかと思ったら休息を取ること早めに医師の手当てを受けることです。
当り前だとお思いになるでしょう?

なぜこんな当り前のことを言うかと申しますと、一寸した風邪だから
何にもしないで治ると思ったと言って酷くなってから見える方が結構おられるのです。

漢方では病気になってからの症状と時間との経過を大切にみていきます。

風邪には最初咽頭炎のような症状であったり、頭痛、肩凝り、熱などの
症状から始まったり、嘔吐、下痢と言った消化器症状の場合もあります。

ぞくぞくしてうすら鼻水をたらす感じで始まったりします。
また急に寒気がして、ガタガタと震え熱が39度40度になるという
インフルエンザ型の感冒もあります。

いつも初期の人ばかりが見えるのなら楽ですが、中にはこじらせている方もいますので、
この方の症状や体力などから今病気としてはどの時期になっているか、
また罹った人の体力や気力もよくみて考えあわせて薬を決めます。

気管支炎や肺炎になってもはじめは軽い風邪であるわけで、
風邪は万病の素といわれる由縁です。

<質問6>誰にでも効くという風邪薬はないと考えた方がよいのですか?

今年は正月の2日に休日診療が当番になって色々な風邪の患者さんがみえ、
38度40度近い方が何人も来られました。

40人近い方が初診でみえられましたが、暮れになる前からの風邪や
インフルエンザ型の風邪など色々でした。夫婦で同じような症状でも
体力、等を考えあわせると違った薬を処方せざるをえない事がよくあります。

<質問7>インフルエンザでも効く漢方薬があるのですか?

体力が十分あり、39度40度の熱が急にでたときなどに精神的にも少しおかしくなることがあります。
そういったときに漢方エキス製剤にはないのですが大青竜湯という薬を与えます。
専門家でも難しい薬ですので素人判断は禁物です。

煎じていただいて半分を服用しますと、早い場合ですとこれで翌朝は平熱か
36度から37度の間になり気分も爽快となってほとんど治ります。

我々専門の漢方医ではよく経験するところです。
見せていただくのが早ければ早いほど身体に対するダメージが少なくて済みます。
出来るだけ売薬など飲まずにおいで頂くのが良いのです。

漢方は病気の変化を幾通りかの型でみます。この型を大切にしますので、
薬などで影響されていない方がきちっとした判断が出来るのです。

回答)質問1:古田 誠 質問2~7:石川 友章

 


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