漢方と味 / 武内 節夫先生
よく漢方薬は飲みにくいと云われます。もちろん良薬は口に苦しという言葉もあります通り、漢方薬と味覚については深い関係があります。
漢方医学の原点で薬物学の古典に「神農本草経」という書物があります。古代中国の伝説の皇帝「神農」が百の草を舐めてその効能を確かめ、この本草経を書いたと云われています。
漢方では漢方薬の味に重要な意味を持たしていることが判ります。この書物には、薬に酸・鹹(塩辛い)・甘・苦・辛に五味がありと有り、今でも味を表現する言葉として通用します。
さらに古典では五味の薬理作用として、辛味は発汗作用、発散作用。甘味は滋養作用。酸味は収斂(しめる)作用。苦味は燥湿作用。鹹味は軟堅作用と、瀉下作用などがあげられいてます。
漢方薬は薬物【生薬】を漢方の考え方で処方しますので、それぞれの漢方薬には様々な味があります。これは我々の経験ですが、漢方薬を飲んだ時の味をどう感じるかに注目します。
それは普通ではとても苦い薬でも、病気で漢方薬を服用すると美味しく感じると、それは患者さんにその薬が合っており、治療効果が有ると考えています。
特に子供さんは薬を飲むのは嫌がるもので、その評価も率直です。日頃飲みにくい漢方薬を喜んで飲んでもらえた時は、ほっとします。
皆さんも漢方薬を飲む時は是非味に気を付けて、その情報を話して下さい。