漢方Q&A - 産婦人科について⑦安胎の為の注意事項は?

「金匱要略」の妊娠病篇に、「婦人妊娠常に当帰散を服するに宜し、之を主る」、
「妊娠胎を養うは白朮散之を主る」とあり、安胎効果を期待し、当帰散や白朮散を用います。

①臨床的には、エキス製剤の当帰芍薬散、四物湯や芎帰膠艾湯を用います。

②基礎実験では、当帰芍薬散には安胎効果があり、妊娠時の血液流動性を改善し、
妊娠中毒症などの合併症を発症させず、また胎盤血流量を増し、胎仔体重を増すなどの報告があります。

③安胎のため、服薬をいつまで続けるか、とくに当帰芍薬散は芍薬を含むので、
分娩時や産褥期に子宮収縮不全を来す懸念があると考えられます。

古くから芍薬宣否を論議しており、賛否両論がありますが、
早産の危惧がなくなれば服用する必要はないと考えています。
(筆者の経験では収縮不全や後出血量は多くは有りませんでした。)

④不育症の場合は、妊娠中も免疫学的検査をしながら、
柴苓湯、当帰芍薬散や芍薬甘草湯を用います。

⑤IUGR(子宮内胎児発育遅延)に当帰芍薬散が有効であった報告があります。

回答)村田 高明

 


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