循環器科

循環器疾患と一口に言っても多岐にわたります。

その中で一般的に対象となるものは、高血圧症、虚血性心疾患、不整脈、
心不全などですが、これらの疾患はそれぞれ急性期、慢性期に大きく分類されます。

循環器疾患は、漢方治療よりも西洋医学的治療の対象となることが多く、
特に急性期の状態では殆どの疾患は西洋医学的治療となります。

そのため漢方治療の対象となる循環器疾患は、そのなかでも慢性期状態の一部に限られてきます。

しかし、対象となる限られた一部の疾患は、逆に西洋医学的治療では症状が改善せずに、
諸検査においても大きな異常は認められずに放置されてしまうことが少なからずあります。

その様な患者さんは、たいてい幾つかの診療所や病院を転々とし同じような診断をされ、
症状も改善しないために精神的にまいってしまい、
最終的に漢方医の門を叩くという状態になっているのです。

まさに、このような状態の患者さんこそ漢方治療の対象であります。
そのいくつかの例を上げて「循環器疾患と漢方」のお話としたいと思います。

高血圧治療は西洋医学的にはステップドケア方式といって、
いくつかの降圧剤を順番に使用する方法がとられますが、
この際に高血圧の状態をみて薬を使い分けます。

これは非常によい治療方法でありますが次のようなことが起こります。
非常にやせた冷え症の70歳台女性の方の例です。

普段血圧が200以上あり降圧剤を服用すると血圧が下がるのですが、
逆に具合がわるくなります。

様々なところで治療をうけ薬も色々と使い分けられたのですが、
いづれにしても血圧が下がるが具合が悪くなるという状態は変わらないということで、
ノイローゼ気味となって当院へ来院いたしました。

その時降圧剤は使用せず「真武湯(しんぶとう)」という体を暖める
漢方薬を使用しましたら、顔色が良くなり、
元気になって血圧が下がりました。
これは漢方の体質をみて治療する例です。

次に、狭心症の中の異型狭心症の患者の例です。
異型狭心症というのは心臓を栄養している冠動脈が様々な原因で
痙攣を起こし血液の流れが悪くなり起こる狭心症です。

60歳台の女性で種々の検査で異型狭心症と診断されました。
そこで異型狭心症の特効薬であるヘルベッサーという薬を使用しました。

非常に良い薬なのですが副作用として時々徐脈になることがあります。
この患者さんも副作用が出現してこの薬を使用することができなくなりました。
その他の西洋薬を種々使用しましたが、狭心症の発作を抑えることができませんでした。

そこで漢方的に診断し「良枳湯 (りょうきとう:煎じ薬)」を
使用したところ症状が消失しました。

以上のような2症例においては、西洋医学的治療を継続したとしても
症状や状態は改善せず益々悪化するものと考えられます。

循環器疾患には漢方の対象となる疾患は多くはありませんが、
このように漢方治療でなければ治療することのできない場合もあるのです。

若林 研司


ページ上部へ戻る