漢方Q&A - 産婦人科について③妊娠中の薬剤投与の注意事項は?
漢方医学では該当する漢方薬の特性を理解した上で、投与条件みたしていれば、
母体(妊娠病)および胎児(胎前病)に対し悪影響を及ぼすことはないと考えられています。
治療の際には薬効を充分に考慮した上での漢方薬を選択するべきであり、
漢方医学理論を踏まえ、過度にならない治療が必要です。
そのためには、妊娠中の漢方治療の原則を知る必要があります。
妊娠中に投与する漢方薬には、安胎薬、慎用薬および禁忌薬があり、
また器官形成期では、漢方薬といえども薬物であり、その点からも極力避けるべきです。
妊娠中の薬剤投与では、漢方薬についても妊婦に慎重に投与するように添付文書があります。
(参考:妊婦、産婦、授乳婦などへの投与についての添付文書には、
「妊娠中の投与に関する安全性は確立していないので、
妊婦または妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回る
と判断される場合にのみ投与すること。」とあります。)
これらの注意点を踏まえても、妊娠中に行う漢方薬投与は、
催奇性や胎児毒性についての動物実験や臨床報告では安全であるとの検証がされています。
しかし、’96,9月、当時の厚生省は日本漢方生薬協会を指導、各漢方製剤メーカーに対し
上記の添付文書を記載することを義務付け、
さらにダイオウ、ボウショウ、コウカ、ゴシツ、トウニン、ボタンピ、ブシのいずれかを含む処方には「使用上の注意」を揚げさせています。
絶対的禁忌の疾患はありませんが、かつては通経剤と言われた
駆瘀血剤や瀉下剤が該当すると考えられます。
回答)村田 高明