いのうえ内科クリニック

 
医院名 いのうえ内科クリニック
医師 井上文彦
診療内容 内科、消化器内科、緩和ケア(総合内科専門医、消化器科専門医、消化器内視鏡専門医)、新型コロナ感染症の後遺症治療が可能
保険適用 保険診療
漢方処方の類別 必要に応じて漢方
住所 〒520-0026
滋賀県大津市桜野町2丁目4-7パデシオン西大津1階
TEL 077-510-2810
サイト・地図 http://www.inoue-naika-clinic.net/   (地図)
最寄駅 JR湖西線大津京駅東口より徒歩3分
京阪石坂線皇子山駅より徒歩6分
イオン西大津向かい、駐車場完備
診療時間 月・火・木・金曜日:8:50-12:00及び16:30-19:30
水・土曜日:8:50-12:00
水・土曜日の午後・日曜日・祝日は休診
コメント
  • 当院の理念や診療内容につきましては、
    当院のホームページをご覧ください。
    患者さんに寄り添った医療を提供したいと思っています。


  • 下記、旧ホームページ・漢方の現場(2011.9月掲載)より転載致しました。

  • 井上先生のプロフィール
    1978年3月 自治医科大学卒業(1期生)
    1994年4月 大津赤十字病院検査部長
    1995年4月 大津赤十字病院内科部長
    2006年4月 大津赤十字病院消化器科部長兼医療技術部長
    2007年10月 いのうえ内科クリニック院長

  • 先生が初めて漢方と出会われたのはいつですか?
    まだ開業する前1990年代後半、病院の消化器科で勤務していた頃、
    80歳代の女性で大腸癌の術後に腸閉塞を繰り返す患者さんがおられました。
    整腸剤や下剤などで便通を整えても頻回に腸閉塞を繰り返します。
    その度に入院して、絶食と持続点滴です。年に数回は入院されていました。
    ご本人はもちろんのこと、ご家族、主治医である私もどうしたものかと
    悩んでおりました。

    ある時、医局にあった雑誌で大建中湯のことを知り、半信半疑で
    その患者さんに処方しましたところ、腸閉塞を起こす頻度が確実に減り、
    腸閉塞が起こったとしても軽度で入院期間が短くなりました。
    漢方薬がこんなに効くのか、と思い漢方の魅力に取りつかれてしまいました。

    開業してからは私のところへ通院していただきましたが、大建中湯は続行したところ、
    老衰で亡くなるまで、腸閉塞の発生頻度は明らかに減っていました。

  • 先生の御専門で漢方はどのような効果を発揮していますか?
    消化器科の分野では、漢方薬は大いに役立っていますし、助かっています。
    代表的なものを列挙しますと、六君子湯はいわゆる機能性胃腸症に効果を発揮しています。
    基本薬として、長期に服用しておられる患者さんも多いです。
    六君子湯はまた、逆流性食道炎において、プロトンポンプ阻害薬との併用や、
    ストレスによる抑うつ的な患者さんの胃腸症状など
    多方面の症状にも効果があり重宝しています。

    慢性便秘の患者さんには、さまざまの漢方薬を処方して、患者さんにあった薬剤を
    見つけて維持するようにしています。腸閉塞を来たすような高度の便秘や先述したように、
    術後イレウスの既往のある患者さんには、大建中湯が効果を発揮することがよくあります。

    また、がんの術後の患者さんや末期がんの患者さんに対しては、
    十全大補湯や補中益気湯などが全身状態の改善に寄与することを経験しています。

  • 普段の治療で漢方薬と西洋薬との割合は?
    病院勤務を経て開業したこともあり、西洋薬の比重が高くなっています。
    しかしながら、感冒、便秘、更年期障害、めまい、頭痛など、短期的に漢方薬を処方するケース、
    妊婦や授乳婦など西洋薬が使いづらいケースなど、処方機会も徐々に増えております。
    正確な割合はわかりませんが、3割程度の患者さんは何らかの漢方薬を処方されていると思われます。

  • 10年後の漢方医療はどうあってほしいですか?
    日常の診療の中で、西洋医学が一般的(=優位)であるということでなく、
    漢方医学が特別のものではない状況になってほしいと思います。
    特別にではなく、普通に漢方を取り入れた西洋医学というスタンスが
    現代の日本人の医療にはフィットしているように思います。

    西洋医学、漢方医学に拘泥することなく、それぞれの長所、短所を知り、お互いを補完し合う
    ことが、何よりも患者さんの為になると確信します。
    治療法の選択肢を増やすことは、患者さんの自己決定権を重視する
    という視座からも妥当であると思われます。

  • 先生ご自身漢方を飲んで効果を実感なさったことがありますか?
    開業して電子カルテを導入しましたが、一日中パソコンに向かう
    日々が続き、肩こりと背部痛で困りました。
    家人に肩を揉んでもらったり、冷湿布を貼ったり、マッサージに
    通ったりしましたが、なかなか改善しませんでした。

    ある時、思い立って葛根湯を服用しましたところ、肩や背部が
    なんとなく温かい感覚がしてきて、次第に症状が軽くなっていきました。
    葛根湯だけの効果であるのかどうかはわかりませんが、
    葛根湯に好印象を持った経験でした。

  • これから漢方医を志す方に一言
    これからの医療にとって漢方は必要なツールだと思います。

    また、漢方医を目ざすことも選択肢ではあると思いますが、西洋医学をしっかり学び、
    患者さんの管理ができる程度の知識や経験を会得してから、西洋医学を批判的に見ることの
    できる目を持って漢方を学ぶことも必要なことではないかと思います。

  • 漢方に関心のある一般の方に一言
    漢方と一言でいっても、さまざまな概念が入り混じっていて、一般の方は
    ともすれば商業ベースのコマーシャルの文言を拠りどころにして、
    漢方薬を求めておられることが多々あると思われます。

    漢方薬は、例えば「証」によって同じ症状でも使用する薬剤が異なることはよくあります。
    薬が効かないのではなく、薬の選択が間違っていることもあるのです。
    漢方薬を使用する際には、正しい、基本的な知識を得て納得してから
    使うようにしていただきたいと思います。