漢方Q&A - 対応疾病⑯肩凝りは漢方で治せますか?

<質問>47歳の主婦、身長160cm、体重66kg。パートを始めてから左の肩凝りが出てきて痛い。
以前より仕事で無理をすると肩凝りが出ており、普通は右肩が凝ります。

整形外科で薬を貰いますが、胃の方が悪くなり飲めません。湿布薬も肌が弱く被れてしまいます。
肩凝りは極ありふれた症状で、肩凝りのない方のほうが少ない位です。

漢方薬で効果はありますか?どんな原因が考えられるのでしょうか?

色々な原因があるようです。
先ず最初に原因のはっきりしていて数も多い、整形外科領域の肩凝りから話します。

整形外科領域の肩凝りの多くは、頚椎当たりの変化によることが多いのです。
例えば、肩頚腕症候群、むち打ち症、40肩、50肩と言ったのものです。

老化や骨粗鬆症等による頚椎の変形は、中々現代医学でも難しいところがあります。

漢方で治療する時には身体の強さと症状等の強さを勘案して処方を決めますので、
首肩の病気でも脈やお腹を拝見して判断いたします。

良く用いられる処方に防已黄耆湯というお薬があります。

色白でもち肌、筋肉は比較的柔らかな感じで、所謂水太りの方、身体が何となく重く、
良く汗をかき、浮腫みやすいと言った方に用いる事が多い処方です。

体力がある場合には、これに痛みの程度で麻黄か麻黄の入った処方を組み合わせます。
このお薬は関節を柔らかく包んでくれるような働きがあるので、
関節痛に永く飲んでいるといつの間にか痛みを忘れていることが多いのです。

この処方に合っている方は、飲んでいますと水はけが良くなって体重が減少してきます。

麻黄が入っている処方は、体力のある場合に用いますので、
体力のあるなしをお腹を見て決めます。

みぞおちを軽く叩いて水の音がするような場合には、胃腸が余り強くありません。
体力がないと考えて、麻黄の入ったお薬は胃に障りますし、
お年寄りで狭心症や心筋梗塞と言った循環器の疾患をお持ちの場合、
発作を誘発する危険がありますので用いません。

こういう場合はその人に合った処方を考えます。
良く用いる処方に桂枝加朮附湯というお薬があります。

これですと麻黄が入っておりませんので安心です。
但し、お子さんには附子が入っておりますので余り使いません。

あくまでも患者さんの体質に合わせて処方します。

余談ですが、むち打ち症等に合う薬もあります。
実は自分の経験なのですが、数年前、クリスマスの日に中央高速を運転していたら、
みぞれが降ってきて、前の車を追い越した途端、水たまりにタイヤをとられ、
スピンしたようで、一瞬のうちに壁が目の前に迫ってきました。

これはケガをするなと思い、ハンドルを切って左の角でぶつかりました。
その時むち打ちになり、レッカー車の中で脈を診ますと、
浮、緊になっております。

これは葛根湯だと思い、電話をして迎えに来てもらい、
服用して1週間後にはゴルフをするまでになっておりました。

葛根湯と言うと皆さん風邪薬だと思っている方が多いのですが、
風邪の時も肩が凝ります。

凝りという点では同じなので、こういう場合にも良く効きますね。
フレッシュな病気ですと漢方薬は早く良く効きます。

目が原因の肩凝りもあります。
例えば両眼の視力が極端に違う場合などは、頭痛、肩凝りの原因になりますし、
目を使いすぎでも良く肩が凝ります。

良くある例は長時間のコンピューター入力や夢中になって
手芸をやりすぎた等の場合で、肩の凝りを訴える女性も居られます。

目に原因がある場合は、眼科で視力を見てもらい、
同じ程度に視力を矯正する必要があります。
これで良くなる場合があります。

また、目の使い過ぎは、上手く休み休みするしかないでしょうね。

ただ、他の人と比べすぐ肩が凝るという場合には、体力的な問題があります。
体力をつけるお薬を飲んでいると肩凝りが減ってきます。

内科的には血圧が高くなると、首肩が凝るという、
高血圧症に伴って出てくる肩凝りがあります。

肝臓が弱かったり、胃潰瘍、十二指腸潰瘍といった消化器系統の疾患や、
胃腸虚弱や胃下垂のために見られる、体質的と考えられる肩凝りもあります。

特に今お話ししました体力がないと言う方は、本来胃腸が弱く、
持久力のない方が多いですから、胃腸虚弱や胃下垂を治すと良いでしょう。

胃腸の弱い人は肩凝りが出やすいので、人参湯四君子湯六君子湯補中益気湯
などの胃腸を丈夫にし、気力を増すお薬を暫くお飲みになると、
胃下垂も段々治ってきますし、肩凝りもしなくなります。

産婦人科領域で多く見られるのは、冷え症や更年期障害から来る肩凝りです。
生理痛が酷く、生理不順があり、手足が冷えて、のぼせ気味、肩が張る、
腰が痛いという症状の女の人は多いようです。

また、あかぎれやしもやけが出来るという人も若い人の中には入るようです。
こういう方は冬の寒さでも肩が凝ってきます。
多くの場合、その原因をお血のためになると考えられております。

お血とは、古血の事です。

部分的に循環不全を起こし、古血がそこに溜まってしまうと考えられております。
その流れを改善すると今お話しした症状が取れてきます。

精神的な面でも肩凝りが出ます。
ストレスが多過ぎたり、いらいらしたりすると肩凝りが出るという場合もあります。
この様に肩凝りも多種多様な原因があります。

肩凝りというと整形外科にかかるかマッサージや鍼灸に行く位しか思い当たらない
という方も多いですが、それぞれの原因を確かめる必要があります。

回答)石川 友章


ページ上部へ戻る