春の養生 / 古田 誠先生

春は冬の間に閉じこもったものが芽吹く、”発陳(はっちん)”と呼ばれる季節です。

”芽吹く”のは植物だけではなく、人間の身体では皮膚疾患も春に芽吹く(悪化する)事が多いようです。

冬の寒さ(陰気)から春の暖かさ(陽気)への変化に身体が上手くついて行けず交感-副交感神経のバランスが崩れ、疲労・免疫異常から皮膚障害が生じます。

また、春は山菜などアクの強い野菜が多くなりますので、アクに含まれるシュウ酸やホモゲンチジン酸などの皮膚・胃腸障害を起こす物質や野菜や果物そのものに含まれるヒスタミン類似物質やセロトニンといった仮性アレルゲンを摂取する事で、アレルギー様反応を起こすとも言われております。

さらに気温が上昇し、空気の乾燥が強くなるため、皮膚も乾燥し、痒みや炎症性変化も起きやすくなります。

このように、春は皮膚に対し刺激的な季節ですが、皮膚異常に対し、西洋医学では軟膏や保湿剤等局所の症状を抑える対症療法が中心となります。

一時的な症状鎮静には良いのですが、”治る”ということを考えると、季節や環境を考慮して、神経バランスを整えたり(例えば加味逍遙散や加味帰脾湯など)、胃腸障害を改善したり(例えば六君子湯や人参湯など)と内面の治療をしながら、食事による負担や弊害を減らす養生の思想を持つ漢方がお役に立てると思います。
 

 


ページ上部へ戻る